2007年6月、カシスとお友達チワワのトム君の間に可愛い男のコが2頭生まれました。
右側にいる子犬は実家からすぐのご近所で大切に育てられています。
左側が実家のコになったフィズ。
私の年老いた両親にとっては、まるで孫のような存在で、いつも周りを癒してくれていました。
やがてフィズ君も立派に育ち、スタジオでもモデルをこなしてくれるほどに成長しました。
実家では自由気ままに過ごしていたけれど、きっと「この家は僕が守る!」と思っていたのか
外の物音にはとても敏感で、訪問者にはいつも吠えたりしていました。
それもまた「ワンワンパトロールが始まったね。」って微笑ましかった。
私が来ると嬉しくて尻尾から身体までブンブン振りながら、遊んでって甘えてきたフィズ。
大好きなアヒルのオモチャを投げると、いつまでもトッテコイをして遊んだね。
吸い込まれそうな大きな丸い瞳で、本当に可愛かった。
ずっとそんな日々が続くと思っていました。
1年前の今日、私の人生で一番辛い日となってしまいました。
辛すぎて家族以外にはほとんど誰にも話せずに今日まで来てしまいました。
いえ、家族ともフィズの話題を出すことは無くなってしまいました。私が壊れてしまうから。
誰かにフィズが亡くなった事を伝えたら、絶対に「何故?!」と聞かれてしまう。
そりゃそうです、あんなに元気でまだ若かったフィズ。
理由は言いたくなかったし、思い出したくなかった。。。でも、忘れた日はないし
毎日フィズに懺悔しています。
でも同時にそれは
フィズがまるで最初からこの世にいなかったみたいに、
なかった事にしてしまっているみたいで、
それはそれで苦しい日々でした。
毎日お花をたむけることが習慣になってくれば、
いつか皆さんにお伝えできる自分になっているかと思ったけれど
一年が経った今でもまだ、何も気持が変わっていないことに気付きました。
蓋をしていただけだもんね。
その日もスタジオ撮影で、お客様が来られた時、フィズは玄関で大騒ぎでした。
いつも仕事の時は出さないように両親に見てもらっていたんだけど
タイミング悪く父が扉を開けてしまい、フィズが庭に飛び出してきました。
相変わらずキャンキャンお客様に吠えるフィズを制止しようと抱え上げようとした時、、、
私の右手から落ちてしまったフィズ。
膝くらいの高さだったのに、石垣に頭をぶつけて打ちどころが悪かったのか。。。
一瞬で意識が無くなってしまった。
目は見開いたままグッタリとしたその姿は、もう一生私の瞼から消えることはないでしょう。
お客様がいらしたので、泣き叫びたい気持ちを抑えて
すぐに両親に病院に連れていってもらい、私は撮影をこなしました。
鼓動を抑えて、わなわなと震える手を押さえるのに四苦八苦しながらも、お客様に心配させてはいけないと
とにかくいつも通り撮影することを心がけました。
約1時間後、お客様が帰られた後、
恐る恐る下におりると、もうフィズは仏壇の前で静かに横たわっていました。
まだ温かいのに、ピクリとも動かない。 もう、フィズは二度と可愛い瞳を私には向けてくれなくなってしまった。
私のこの手で死なせてしまった。
きっと突然の事過ぎて、フィズもなんだかわからずにいるに違いないね。 本当にごめんなさい。
帝王切開で大変な思いをしてまでフィズをこの世に産んでくれたカシス、本当にごめんなさい。
後は声が枯れるほど泣いたけど、涙は枯れないんですね。
数日間は何をしたかも覚えてないくらいですが、忙しい時期だったのでただ仕事をこなしました。
ゆっくり喪に服してあげることも出来ないなんて、大好きで始めた仕事も恨めしく思うほどですが、
仕事がなかったら、本当に衰弱してしまってたかもしれません。
フィズの小さな亡骸をしばらく傍においておきたかったのに
仕事が詰まっていて、翌日の午前中、お客様が来られる前に移動火葬車に来てもらいました。
本当にあっと言う間に小さな骨壷になってしまった。
母は早く骨を埋めてあげて、土に返してあげなさいと言うけれど、
こんな寒い、冷たい土の中に埋めるなんてとても出来ない・・・
自宅の小さな祭壇に連れて帰ってきて、毎日お花をたむけていたら、もう一年が経ってしまいました。
そして迎えた一周忌、いつまでも私がこんな気持ちでいたら
きっとフィズ君もどうしていいかわからず、虹の橋を渡れていないかもしれないと思い
気持ちの整理をつけるためにも、皆さんにお知らせすることにしました。
フィズ君に会った事のある方も、なかった方も
写真ではサイトやいろんな所に彼は今もいます。
悲しいお知らせになってしまいましたが、これからもフィズ君には見守ってもらおうと思っていますので
見つけたら、可愛いフィズくんを愛でてあげてください。
可愛いフィズ、私のところに来てくれて、本当にありがとう。
みんなにも知ってもらったし、もう自由になろうね。